ひとりごとの番小屋

年明け、会社に危険地帯ができる。
年末に帰省した皆がそれぞれの地元で買ってくるお菓子、
さらにはお年始に頂いたお菓子により、
まるでどこかのデパートの全国お菓子博覧会の様相を
呈しているのだ。
ままどおる、柚もなか、黒胡椒せん、リーフパイ、
アントラーズサブレ、etc.etc...
皆ただでさえ、正月明けで大変だというのに。本当に危険。
でも食べる。

さて、そのなかのひとつ、「あい○じょっこ」なるクッキー。
普通のクッキー色とココア色とあり、
私は最初クッキー色を手に取った。
すると一人の後輩が突然、「それ、コワイんですよ…！」

「な、何がコワイの？」
「原材料名を読んでください」
「小麦粉、砂糖、バニラパウダー…
別にコワイもの入ってないじゃない。
いっそ保存料も何も入ってなくて素晴らしいじゃない」

と、彼女はニヤリと笑ってもう一つのクッキーを手に取り、
「今度はこっちを読んでください」
「小麦粉、砂糖、バニラパウダー、…こ、ココア……！！！」

ココア味のクッキーの原材料、
印刷されたさまざまなもののあとに、なななんと
『手書きで』
「ココア」と書いてあったのだ…！

手書き？　手書き？　ボールペンで手書き？
いったい何個、手で書いてるの？
こんな、盛りだくさん作るようなお菓子を！！
何個？　何千個？　何万個？

職人さんが一つ一つ手で「ココア」と書き入れる様子を思い描き、
気が遠くなった…コワイ…
これは確かにコワイ…お、お疲れ様…。